今回は、個人向けのスマホ事業からの撤退を発表した京セラの歴史について、振り返りたいと思います。
スマホ選びの参考になれば幸いです!
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京セラとは
京セラはファインセラミックスの専門メーカーとして1959年に誕生した企業です。
様々な分野の企業の売買を通して取り扱う製品の幅を広げてきました。
例えば、通信機器関連だと電子部品や半導体部品などを手がけています。
それ以外には自動車用部品ソーラーパネル、電動工具、宝飾品、医療用製品、セラミックのキッチン用品や文具なども製造しています。
過去にはカメラ、PC、オーディオ製品などをコンシューマー向けに展開していたこともありますね。
京セラの携帯電話事業の始まり
京セラが携帯電話事業に参入したのは、1982年に無線機器を製造していたサイバネット工業を合併したことがきっかけです。
同時に商号を「京都セラミツク株式会社」から「京セラ株式会社」に変更しました。
その後、1984年に京セラを中心にソニー、セコムなどが出資して第二電電(DDI)が設立されました。
DDIは今のKDDI(au)の母体の1つで、京セラは今でもKDDIの主要株主となっています。
電電公社(現NTT)民営化に伴う通信の自由化により、新規参入した形です。
参入時から初期のスローガンは「日本の電話を安くする」で、今の楽天モバイルに近い姿勢が見られます。
初期の京セラ製携帯電話
京セラが初めて製造した携帯電話は「HP‐101」です。(1989)
初期の京セラはセルラーグループ向けに「HP‐1○○」という型番で端末を開発していました。
このHPは「ハンディーホン」というセルラーグループの端末愛称の略で、数字の「1」は京セラを示しています。
ちなみに、ソニーが「2」、東芝が「3」でした。
PHSサービス開始、DDIポケットの誕生
その後、1995年にPHSのサービスが開始されました。
料金の安さから若者を中心に一気に普及しましたね。
DDIもPHSサービスを提供するDDIポケットを設立しました。今のワイモバイルの母体ですね。
DDIポケット最初の端末が京セラ製の「PT-101」です。
当時はまだメールサービスなどが無かったため、ほぼ通話機能のみの端末でした。
また、1996年にはPメールに対応した「PS‐702」が登場しました。
スマホの走りとも言える「DataScope」
1996年に初代端末が登場したDataScopeシリーズは、携帯電話単体で通話と通信ができた最初の端末です。
PCカード端子が付いていて、ノートパソコンに接続し通信モデムとして使えました。今で言うところのテザリングですね。
また、カレンダーやToDoリスト、世界時計、電卓なども使えたので当時としてはかなり機能性の高い端末でした。
意外と尖った機種も多く開発
京セラはDataScopeをはじめとして、なかなか尖った機能を持った機種も多く発売しています。
わずか59gで世界最軽量のTH192(1999)
TH192はわずか59gという軽さが特徴で、当時でも世界最軽量でした。
最近のスマホは軽くても140g台なのでかなり軽いことが分かります。
世界初のテレビ電話対応モデル「ビジュアルホン VP-210」(1999)
1999年に発売されたビジュアルホン VP-210は世界初のテレビ電話対応モデルとして登場しました。
しかし、価格が高い上にビジュアルホン同士でしかテレビ電話ができなかったこともあり、売上的には失敗でした。
別売りの外付けカメラユニット(Treva)が付けられるTESORO PS-C1(2001)
TESORO PS-C1は2001年に発売された端末で、別売りのカメラユニットを付けることでカメラ機能が使えました。
Palm OS搭載のQCP 6035(2001)
同じ2001年にはアメリカ限定ですがPalm OS搭載のQCP 6035が発売されました。
デザインも良く、Palm OSの利便性もありアメリカではかなりの人気を集めた一台です。
リボルバー式を採用した「A5305K」(2003)
2003年にauで発売されたA5305Kはリボルバー式の機構を採用していました。
Operaブラウザ搭載でPC向けサイトも閲覧できる「京ぽん」シリーズ(2004~)
2004年からはOperaブラウザでPC向けサイトの閲覧ができる京ぽんシリーズを展開しました。
当時の携帯電話だとiモード専用サイトしか見ることができないといったことが多かったので、ある意味革新的な存在でした。
京セラ製Androidスマホの始まり
京セラ初のAndroidスマホは2010年の「Zio」で、アメリカのみの発売でした。
当時のスマホが130g台の重量が中心だった中、105gに抑えられています。
翌年の2011年には世界初の2画面スマホ「Echo」を発売しました。(こちらもアメリカのみ)
折りたたみではなくスライド式の機構で、デザイン的にも非常にかっこいい一台です。
国内向けの最初の京セラ製Androidスマホは2011年の「DIGNO ISW11K」です。
当時のauのラインナップでは最薄の8.7mmで、有機ELディスプレイを搭載していました。
また、PHSで人気だったHONEY BEEシリーズからスマホとして「101K」が登場しました。
京セラとして初めてのソフトバンク向け端末で、デザインと片手操作のしやすさが重視されています。
京セラ製スマホの展開
その後京セラは、日本のスマホメーカーとして展開を進めていきました。
こちらの2つが代表的なシリーズですね。
- DIGNO:標準モデルと言えるシリーズ
- TORQUE:タフネススマホシリーズ、京セラスマホの代名詞的存在
また、メーカーを跨ぐブランドにも参加しています。
- BASIO:KDDIのシニア向けブランド、京セラ製は2020年のBASIO4が最新
- URBANO:通常モデルとシニア向けの中間層をターゲットとしたKDDIのブランド、2019年のURBANO V04が最後
- Android One:必要十分な性能とアップデート保証を低価格で提供、GoogleがAndroidスマホの普及のために進めているブランド、京セラ製は2023年にS10が発売
また、個人向け端末以外に法人向け端末も多数製造しています。
その他では、キッズスマホやガラケーを主にau向けに製造していますね。
また、2021年にはODMで京セラが製造した「BALMUDA Phone」が話題になりましたね。
京セラ携帯電話事業撤退について
京セラは2023年5月16日に中期経営計画の中で個人向けの携帯電話事業の撤退を発表しました。
具体的には、2023年度で新規開発が終了、2025年度で生産終了の予定です。
ただし、タフネススマホのTORQUEについては継続することが分かっています。
また、通信インフラ関連の事業や法人向け端末の生産は継続されるとのことです。
京セラ撤退の要因は?
現時点で考えられる京セラが撤退に追い込まれた要因は大きく分けて2つあります。
①auに依存しすぎた
京セラは設立に関わったau向け端末を中心に展開していたメーカーです。
その結果、auが求める端末ばかりを開発していてソニーのXperiaのような強い自社ブランドがありません。
一応TORQUEなどがありますが、あくまでauによる広告や商流で定着したブランドだと言えます。
また、スマホ自体の出荷台数が減っている中、au一社に偏りがある京セラはなかなか厳しい部分があったのではないでしょうか。
②耐久性の高さが裏目に?
TORQUEをはじめ、京セラのスマホは耐久性の高さが特徴です。
特に、TORQUEの場合はバッテリー交換ができるのでかなり長く使えるようになっています。
同じ端末を長く使えるということは、売る側にとっては新しい機種を買ってもらいにくいとも言えますよね。
また、最近の京セラスマホはシニア向けも多く、壊れてしまうまで使い続ける層も多いので余計に買い替え頻度の低下に繋がっています。
ここに材料費高騰などが合わさり、採算が採れなくなってきたのではないかと思われます。
今後の京セラスマホはどうなる?
今後の京セラのスマホは個人向けは終了なので、一般的には買いにくくなると考えられます。
一方で、法人向け端末事業は継続されます。
国内だけではなくアメリカなどでも京セラの耐久性の高さは好評で、警察などの官公庁でも採用されています。
法人向けであれば定期的な買い替えもあるため、ある程度採算が採れるのではないでしょうか。
また、TORQUEシリーズは継続されると発表がありました。
TORQUEは登山やアウトドアを楽しむ層や、漁業などの現場でも人気なので今後も重宝される存在になりますね。
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