今回は、ソフトバンクが端末のみで購入できないモデルを増やしている問題について、解説していきたいと思います。
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ソフトバンクの一部端末が単体購入不可に
ソフトバンクでは2024年に入ってから、単体購入不可のモデルが増えています。
つまり、回線契約なしで購入できないモデルが多くなっているという状況です。
最初は2024年3月ごろに価格改定されたXperia 10 ⅤとOPPO Reno10 Pro 5Gです。
この2モデルは大幅に値下げされて、一括31,824円に価格改定されました。
その代わり単体購入不可になり、新トクするサポートの対象外にもなりました。
MNPや22歳以下の新規契約で21,984円の割引を適用することで、一括9,840円になります。
さらに、2024年7月発売のmotorola edge 50s proは、発売当初から単体購入不可の状態です。
こちらは一括定価は若干高いものの、新トクするサポート(バリュー)がかなり安く設定されています。
支払額は12回目までが月1円、それ以降が2,377円になっており、1年後に返却すれば、端末代の負担額は12円で済みます。
また、他にも新トクするサポート(スタンダード)で2年後返却実質24円のモデルも単体購入不可になっています。
- motorola razr 40s
- Xiaomi 13T Pro
- Pixel 8
- Pixel 8a
新トクするサポート(プレミアム)で1年後返却実質36円+別途費用のモデルも単体購入できません。
- iPhone 15 Pro
- Pixel 8 Pro
- AQUOS R8 pro
- Xperia 1 V
これまで、MNP割引などで月1円になっていたモデルが軒並み単体購入不可になっている状況です。
また、2024年8月に入ってからはソフトバンクオンラインショップの単体購入ページでは、iPhoneとiPadしか購入できないようになっており、Androidスマホの単体購入ができなくなっています。
「通信と端末の分離」を総務省が推進する中、その理念とはかけ離れた販売方法と言えるのではないでしょうか。
ソフトバンク側の狙いとは
ソフトバンクに限らず、本来キャリアは回線契約が欲しいので、そもそも単体購入はあまりしてほしくありません。
そのため、投げ売りと言われる廉価販売は、基本的に回線契約のための撒き餌のようなものになっています。
その上で、2019年ごろから総務省が「通信と端末の分離」を推奨しているので、端末単体販売も一応行ってきたという経緯があります。
結果的に、ここ最近は残価設定プログラムを安く設定しつつ、MNP割引で月1円などを実現していました。
このように、これまでもMNPなどの回線契約ありのユーザーを優遇する形ではありました。
ただ、今回ソフトバンクはもう一歩踏み込んで、初めから月1円に設定した上で単体購入を出来ない形にしています。
意地悪な言い方をすれば、通信料収入に繋がらないユーザーを完全に切り捨てたと言えるでしょう。
また、単体購入不可になったモデルは型落ちモデルや、今後新型モデルが登場予定のものも多くなっています。
「在庫処分で安く売りたい、でも通信料収入も欲しい」という狙いから単体購入不可になったのではないでしょうか。
規制やガイドライン的にアリなのか?
ここで気になるのが、今回のソフトバンクの手法が総務省的にアリなのかというポイントですよね。
勘違いされやすい部分ですが、そもそも「端末単体購入ができるようにする」こと自体は、現在の規制では義務ではありません。
規制で禁止されているのは、端末購入を条件に通信料金を割り引くといった、プラン設計の部分が多く、端末の販売方法についてはそこまで厳しいルールが無い状態です。
また、残価設定プログラムで支払いが免除される額は、キャリアが提示する買取予想額と割引額で決まっています。
この買取予想額は、2023年末の新規制からはキャリアがしっかり試算して提示する形になりました。
要するに、買取専門店などの買取額から大きく乖離してはならないということです。
ここにキャリア側が割引原資を充当することで、2年後返却実質22,000円などの安い価格設定にしています。
この割引額はガイドラインで規制されているため、上限は4.4万円です。
つまり、買取予想額と割引額の金額が適切であれば、ソフトバンクの手法自体は法的には問題ありません。
ただ、残価設定プログラムも含めて単体購入不可にすることは、かなりグレーなラインだと思われます。
回線契約ありとなしのユーザーで、「端末が買える・買えない」という大きな不公平が生じているためです。
規制のギリギリを攻める姿勢はソフトバンクらしさも感じられますが、どうみても問題がある売り方なので、今後総務省から指導が入る可能性は十分にあると思います。
新たな規制で単体販売が義務になれば、これまでのやり方と同じ、MNP割引で月1円にする形に戻るのでは無いでしょうか。
逆に言えば、この手法が総務省から見逃されれば、他キャリアが便乗してしまい、ドコモやauでも単体購入ができなくなる可能性があるので、今後の動向には注目です。
既存ユーザーにはかなりおすすめ
今回の販売手法の恩恵を最も受けるのは、ソフトバンクの既存ユーザーです。
MNPのユーザーはこれまでと同じ月1円で利用できるため、お得度合いは以前と特に変わりません。
一方、今回の販売手法では既存ユーザーの機種変更でも月1円で利用することができます。
従来の形だと、機種変更では割引がなく、端末を安く利用できなかったので、月1円で端末を利用したかったソフトバンクユーザーの方はかなり嬉しいと思います。
今後、今回の手法が規制される可能性もあるので、ソフトバンクユーザーの方は今のうちに利用してみてはいかがでしょうか。
このままだとややこしい時代に逆戻り、さらなる規制の行方は?
ソフトバンクが単体購入不可のモデルを増やしているのは、あまり良いことではありません。
単体購入できない端末が多いこと自体、時代の流れに逆らっていますし、ユーザー間の不公平感も高まります。
また、月1円で利用できても、1年や2年を過ぎると支払額が一気に高くなる複雑なシステムになっています。
規制などから見てもかなりグレーなラインなので、今後指導や新たな規制が行われる可能性は十分に考えられます。
残価設定プログラムの買取予想額の算定方法も総務省で検討が行われており、より厳格になる可能性もあります。
ただ、既存ユーザーの機種変更は非常にお得なので、気になる方はお早めにチェックしてみてください。
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